
鳩モチーフの意味と由来 装飾に込められた象徴と文化背景
鳩は世界中の文化や宗教、美術装飾に登場し、平和・純潔・愛・聖霊といった象徴的な意味を持ちます。
本記事では、鳩モチーフの歴史的背景と文化圏ごとの解釈を整理し、装飾やデザインに取り入れる際のヒントを紹介します。
古代の由来

メソポタミア・地中海世界
- 古代メソポタミアでは、鳩は女神イシュタル(愛と豊穣の女神)の象徴とされた。
- 古代ギリシャでは女神アフロディーテ(ローマ名ヴィーナス)の聖鳥とされ、愛と美を象徴。
ローマ帝国
- モザイク画や装飾品に鳩が描かれ、家庭的な安らぎや夫婦愛を表す。
宗教的な意味
キリスト教
- 新約聖書では、鳩は聖霊の象徴として登場。
- ノアの方舟の物語では、オリーブの枝をくわえた鳩が洪水の終わりと平和の訪れを告げる。
また白い鳩は楽園に憩う清らかな死者の魂を表しているともされています。
イスラム文化圏
- 預言者ムハンマドを守った鳥として尊重され、純潔と保護の象徴。
ヨーロッパ装飾における鳩
- 中世のタペストリーやステンドグラスに描かれ、純潔・慈愛を象徴。
- 19世紀以降、平和運動のシンボルとしても広く普及。
東アジアにおける鳩(日本を中心に)
八幡神の神使としての鳩
- 八幡神(応神天皇)の神使とされ、特に勝利・守護・導きの象徴。
- 神功皇后の朝鮮出兵を導いた際、白鳩が方角を示したという伝承がある。
- 八幡宮の社紋や旗、絵馬などに鳩意匠が多く使われる。
仏教的象徴
- 鳩は殺生を嫌う鳥とされ、慈悲・不殺生の象徴。
- 寺院の庭や境内で保護される存在として描かれる。
夫婦円満・家庭安泰の象徴
- つがいの鳩は夫婦和合や家庭の平和を表す。
- 江戸時代の郷土玩具や婚礼道具にも意匠化される。
現代における平和の象徴
- 戦後、オリーブ枝をくわえた鳩が世界的な平和シンボルとして普及。
- 宗教的背景を持たない世代にも「平和=鳩」のイメージが定着。
装飾における主な意味まとめ
象徴するもの | 背景 |
---|---|
平和 | ノアの方舟とオリーブの枝、戦後の平和運動 |
純潔 | 白い羽、聖霊の象徴 |
愛と美 | アフロディーテの聖鳥、夫婦愛 |
聖霊 | キリスト教における神の霊の象徴 |
神聖な使者 | 八幡神の神使としての鳩 |
導き | 神功皇后伝承 |
まとめ
鳩モチーフは、宗教的な象徴から平和運動まで幅広く使われる普遍的な意匠です。
特に日本では、八幡信仰を背景に勝利・守護・導きの意味が強く、ジュエリーや彫金では、羽ばたく姿やオリーブ枝との組み合わせが人気のモチーフです。