昭和彫りと呼ぶ職人もいる日本伝統の彫金模様
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日本にもある伝統的な彫金模様
少し前の日本では彫金という単語を知っている方自体が少なくなってきていましたが、YOUTUBEや各種SNSなど情報が共有できる場が増えた結果、以前よりはマイナーな存在ではなくなってきたと感じています。
一昔前は彫金の模様を見せると「ハワイアンジュエリーみたいですね」と言われていましたが、そういった言われ方も少なくなってきました。
彫金自体は奈良時代に日本に伝来した金属に線を彫る技術が元になっていると言われます。
また、伝統的な彫金模様にもハワイアンジュエリーのような花をモチーフとした連続模様があり、年配の彫金師の方の中には「昭和彫り」と呼ぶ彫り方があります。
彫り方は同じモチーフを連続で彫る方法ですが、限られた範囲にモチーフを密集させたデザインになります。
洋彫りと呼ばれる彫り方
この一部で「昭和彫り」と呼ばれる彫り方は、専門書では「洋彫り」と書かれ紹介されている彫り方で少々紛らわしくなっています。
現在では彫金技法において洋彫りというと、イタリアなどで使用される洋彫りタガネを使用して手押しで彫る技法が思い浮かびますが、この花モチーフを連続で彫る「洋彫り」の模様は日本の彫金で使用するタガネで彫る洋風の花のモチーフを指します。
日本のタガネで彫るから和彫りだという方もいますが、和の植物モチーフはそれぞれ伝統的なデザインがあるので混同しやすくなります。
古代のロゼット・戦国時代の家紋にも似た文様の形態
この昭和彫りの文様は限られた面積に模様を詰め込んで花などを表現するデザインなので、当サイトで以前紹介したロゼットが文様の形態として近いと言えます。
もちろん限られた空間に模様を入れるということでは日本で昔から使われている家紋から着想を得ていると考えますが、世界の東西と歴史の流れがどれだけ離れていてもデザイン画に通ってくるというが非常に面白い点と言えます。